信濃川の最初の一滴が見たかった！

この夏僕は、ここ数年温め続けた夢を実現することが出来ました。題して“僕は、信濃川と千曲川の最初の一滴が見たかった”

信濃川と千曲川は一本の川なんですが、長野県を流れている間は千曲川と呼ばれ、新潟県に入ったとたんに、信濃から流れくる川ということで信濃川と名を変えます。全長三六七キロ、日本一の長さを誇るこの川が、どんな風に海に注ぎ込んでいるのか、そして、どこで生まれてくるのか、自分の目で確かめ、その長さを体で感じたい——というわけで、新潟の河口から水源地まで歩いて川をさかのぼることが、この川の中流に生まれ育った僕の夢でした。「今の時代に歩かなくても他に手段はあるでしょう」と、途中で出会った人にも言われましたが、自分にどれだけの事ができるか挑戦したかったんです。まっさんのマネと言われればそれまでですが、三六七キロという距離を川面を見つめながら、そして自分を見つめながら歩いて、自分っていう人間を少しでも大きくしていくことができたらって、そんな思いで旅に出ました。

結局十三日かかって河口から水源地まで完歩したわけですが、途中たくさんの人に出会い、いろんなことがありました。バス停で野宿を決め込んでいると、僕の旅の主旨を聞いて「今晩は家(うち)に泊まってけや」と言って、泊めていただいたお宅がありました。ある駅の立ち喰いソバのおばちゃんは「これ食べてガンバッて！」とオレンヂを三コも持たせてくれました。それからずっと雨に降られて、まわりに人家もなく、今日の目的地にはまだ距離がある、連日の疲労もたまってきている_ため息がフッと出そうになった時に、前からツーリングのバイクが２台来て、僕を励ますように手をあげてあいさつしていってくれました。一瞬ハッとさせられて、次の瞬間うれしくて、ふり返っておじぎしてしまいました。

その他、出会った人たちがみんな、“ガンバレ！”って応援してくれました。“ガンバレ！”って、よく言ったり言われたりするコトバだけど、こんなにうれしくて、ありがたく感じたことって今までになかった気がします。

他にも書ききれないほどいろんなことがありましたが、今回の旅をふり返って思うことは、家族・友達をはじめ、途中で出会った人たちみんなに応援してもらったおかげで、僕は目的を達成できたのだということです。やっぱり人間ひとりで生きてるんじゃないです。たくさんのまわりの人に応援してもらって生きてるんですよネ。そうやって、人の間で支えられて生きているから、“人間”って言うんじゃないかな、そんな風に思いました。だから、みなさん、どうもありがとうございました。